(腐)ホワイトデー和菓子

スポンサーリンク

ま た 水 瓶 魚
これのつづき
蠍もなんかいます

和菓子のクールな日記

もうすぐ日本でいうところのホワイトデーだ。アフロディーテへの返礼はどうしようか。
あれはあくまで義理だからあまり重いのはいけない。アフロディーテはサガの愛人だという噂もある。まあ私的にはそんなことは関係ないのだが、ただの義理に本命で返すような勘違い男は全くクールでない。
同じくらいのもので返すか。
しかしアピールもしたい。重すぎず軽すぎず……ああロクシタンのハンドクリームあたりにしよう。
アフロディーテはあれで意外と手が荒れている。たぶん黒薔薇の棘で傷付けられることが多いのだろう。せっかく綺麗な手をしているのに勿体無い。
決まったので善は急げ、光速で買って戻って来た。あとは渡すだけだ。

当日だ。
夜は本命の先約が入っていそうだから日が高いうちに双魚宮に入った。いつも通り薔薇の甘い香りがする。
「アフロディーテ」
呼べば小走りで出て来た。今日も美しい。
「カミュ。どうした?」
「ホワイトデーだ」
「ホワイトデー?あ、この前チョコレートを配った時に言っていたあれか」
「そうだ。これを受け取ってくれ」
「ありがとう」
「中身はハンドクリームだ。あなたの雪のような手が荒れているのは人類の損害だからな」
「……ものすごいことを言うな君は」
褒めると割とすぐ赤面するのが楽しい。
と、背後に人の気配が。
「アフロディーテ」
「ミロか」
振り向くとミロも袋を持っている。
そういえば自分も便乗するというようなことを言っていた。
「先を越されたようだが仕方あるまい。受け取れ」
ミロは何を渡したのだろうか。
「マスティハ入りのハンドクリームだ。君は手荒れのケアができていない。女なら全身なめらかで瑞々しい肌にしておくのが……」
「帰れ!!!二度と来るなセクハラ蠍!!!!」
まさか被っていたとは。宮が近くてよかった。
アフロディーテは、大量の黒薔薇でミロを追い出している。
あれはデリカシーがないのだ。そういう言い方をすればそりゃキレるだろう。
そもそもアフロディーテは女ではない。
「ミロは嫌いだ」
眉を吊り上げていても美しいが、今は私といるのだから私を見てほしい。
サイドテーブルに置かれたクリームを開封し、アフロディーテの手を取る。
「黒薔薇はあなたを引き立てるが同時に傷付けもするな」
「……」
塗り込んでいくと相手の体温が上がるのが分かる。
「私にこの手を守らせてくれないか」
「…………それはつまりどういうことだ?」
何度も瞬きをした後そう答えてきた。
押しが足りないのだろう。また今度にしよう。
「いや、ほんの冗談だ。それよりこの後予定はあるか?」
「この後?夜はサガと食べに行くが」
予想的中。
「分かった。日本のバレンタイン、なかなか楽しかったとサガにも伝えておいてくれ」
「ああ」

そうして自分の宮に戻るとミロがいた。
「勝手に居座るな」
「俺達の仲だろう」
「親しき仲にもと聞いたことはないか」
「その言葉そのまま返すぞ」
「いつ私がお前に無礼を働いた」
「いや……いい。この話はやめよう」
全く。
「言っておくが今回だけだからな。次は俺が勝つ」
「何がだ」
「アフロディーテ」
「勝負をしているつもりはないが」
「何、では本気なのか?」
「お前に関係ないだろう」
「そういえば最近女といないな」
こうなるとミロは煩わしい。
「用がないなら帰れ」
「随分素っ気ないな」
「知らん」
「おい」
無理矢理帰らせた。

本当にサガとそういう仲なのかは知らないが脈はある。ゆっくり落とせばいい話だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加