毛利小説です。前から持ってたんですが最近読み返したので!
物凄いネタバレです。変な先入観がつくかもしれないし、これから読む人は見ないほうがいいかも…
先に言っておきますが…私は普段ほとんど小説を読みません。
なので、解釈に自信は全くありません!
くどくなるので断定口調にしてますが、全部の文章の後ろにカッコたぶんと付けて読んで下さいorz
あと目次を見る限りロラン・バルトの「S/Z―バルザック『サラジーヌ』の構造分析」この本が関係あるみたいですが読んでいません。
もし読んだら追記するかも。
言葉の定義ですが、断りがなければ
毛利元就→この小説の毛利元就
捨て駒→地の文(毛利軍の兵士ではなく)
としています。
ページ数書いてますが原文ママの引用ではなくちょっと変えています。
なんかいきなり自分の心情語りだします。
守護霊と希薄な自己と茨の棘
たぶんこの3つは繋がってると思うので(あくまで私の解釈ですが)
まず、この小説の毛利には守護霊がいます。捨て駒です。毛利に捨て駒にされて死んだ人間の霊です。
ときに浮遊しときに他に転移してあらゆる情報を伝えてくれるとりとめのない断章のような物語(293p)
=捨て駒を意識の語り部とする超越的な一人称(293p)
これは読者であり、地の文であり、毛利に俯瞰風景(316p)をもたらします。
具体的には私達読者がこのbasaraの小説を読んで得た情報全てをです。
おそらくこの小説にかぎらずほかの情報も含まれます。
地の文にやたらバサラ技、究極バサラ技と出てきたり、
3の小説なのに2や宴のネタが入っているのは、読者がゲームをプレイしているからです。
第四の壁の向こう側の読者から情報を受け取ってはいますが、
毛利はあくまでもその場にいます。
死の恐怖もちゃんとあるみたいなので、仮想現実ではないです。
こちらから見ると小説ですが本人にとっては現実です。
毛利は守護霊のことを、自分であって自分でないもの(166p)としています。
守護霊は毛利の体を借りて叫び泣くことができます。
つまり守護霊は毛利の中に入れます。別人格みたいな感じでしょうか。
プレイヤーがゲームをするとき、そのキャラを動かしているから、そのキャラになったような気になるのと同じです。
毛利は、自分自身に関する事柄についてはきわめて希薄な意志しか持ちません(27p)。
中国を守りたいという想いが何に由来するのか、
自分がほんとうに求めているものは何なのか、
それがわからない状態です。
これは俯瞰能力のためです。
上の次元の視点が手に入るので自分が相対化され他人事のように思えてしまう。
離人症は自我が分裂して同一性が損なわれ自分が三人称として見えるらしいですが、イメージはこれに近いです(あくまでイメージです)
一つの器にたくさんプレイヤーを受け入れるから自分の意識が薄くなるというのもあるかもしれません。
戦中なのに頻繁にぼーっとしてすぐに何かに見とれたり意識飛ばしたり物思いに耽ったりするのも、現実感がないせいかも。
でも感情はあります。
毛利は決してロボットではなく、美しいものに見とれ、秀逸な技に感動し、金吾に呆れます。寂しさを感じもします。
自分がはっきりしないというのはつらいことです。精神を蝕む茨の棘(193p)です。
捨て駒のせいで毛利は空虚感を抱いています。
この小説でも毛利の寂寥感には触れられていますが、
その寂しさが生まれる理由はいつもの「かけられた情を突っぱねるから」というものではなくて(それもあるかもしれませんが)
「見えるから」です。
他の人とは生きている次元が違うので、
他人を人間と思えない、自分と同等に思えない。
単純な原理に基づき定点運動を繰り返す無機質な物体のように(149p)思える。
最後、毛利は読者に意識を向けます。
読者の方はこれまでに何度も呼びかけていますが反応が返ってくることはありませんでした。
これが最初で最後の接触です。
小説が終わり、地の文が終わり、読者を捨て駒として切り捨てた毛利はもう苦しまなくて済みます。
自分の世界でしっかり自分を認識して生きられます。
でも捨て駒は毛利のその姿を見ることはできません。ページはもうないから。
以前、毛利を超越者にする意味が分からなかったのですが、いまなら分かります。
毛利が、二つの願いの一方を犠牲にしてその結果生まれる孤独に耐えながら頑張るキャラだから。
そこは崩さずにアレンジしているのです。
(ここから理性崩壊)
捨て駒と元就様、すれ違ってます。でもこの辛いのがベストな選択なのです。
ゲームの、いつもの毛利と同じです。
一番いいルートをとっても痛みがついてまわる…
私には単純なバッドエンドより辛いです。
これが最良、これ以上はない、だから余計に辛い…
毛利が幸せになるためには、常に、もう一つの幸せを切り捨てないといけない、孤独にならないといけない
降参ですorz
私は甘い人間なのでこんな生き方をそのまま受け入れることができません。
だから元就様お花見しましょうとか未練がましいことを言ってしまう、ギャグに逃げる
逃げたらだめですね
元就様を愛しているならその生き方を直視しなくては(´;ω;`)
やっと元就様がこっちを向いたと思ったら、捨てられて、言えたのはたった一言、元就さまって呼ぶだけなんですよ(´;ω;`)
言いたいことは山程あるのに、
どれだけ貴方を愛しているか、どれだけ美しいと思っているか、お守りしたいか、一緒に過ごしたかったか
山程あるのにもう二度と言う機会はない
(´;ω;`)
もう二度と、姿を見ることすらできない
切り離されて干渉できない
別の世界にいってしまった
会うには元就様がこっちに来るか捨て駒があっちに行くか
前者はありえないので
こうして夢女子は生まれるんですね(全くもって違う)
元就様を思うならお別れしないといけないんですよね…
ときどきでいいから捨て駒である読者のことを思い出してほしい…
捨て駒も桜を見るたび元就様を偲びます(´;ω;`)
これ、元就様の生き方を理解して受け入れてないと響かないですね…
前はもう少しシンパシーを持ってくれたらなんてトンチンカンなことを言っていましたが、あのときだったら絶対不満持ってたと思います。
こんなに捨て駒向けな小説ってありますか?
捨て駒以外にはところどころ謎の記述があるノベライズにしか見えませんよ、おそらく
捨て駒以外が「元就さま」という字を読んでも、無意味なただのインクになる
いや、真面目に毛利小説やばいです。
読者を話の中に引きずり込む、傍観者じゃなくて当事者にする作品
転生
ここほとんど自信がない・・・・・・
特に桜との類似が。孤独、儚さ、転生のうち儚さが分かってませんorz
小説毛利は転生しているという描写がありますが、
過去を、未来を、絶対に存在しない現在の、自分の魂の遍歴の軌跡を切り捨てた(316p)
系統樹の如く分岐する~別々の物語(316p)
ここを読むに、一つの魂が直線的に転生しているというよりは平行世界に多数の自分が存在している(他の可能性がある)と考えたほうがしっくりくる気がします。
もともとBASARA自体、一つのゲームにたくさんのルートが入ってる平行世界っぽいジャンルですね。
平行世界の他の自分が滅ぶさまを守護霊を通して見ていて、その自分を捨て駒にして安芸の安寧を手に入れたのがラストです。
桜を見るのが好きだった毛利。
どういうわけか、ひらひらと舞い落ちる色あせた花びらに―孤独を感じた、共感した、転生する自分を思った。自分は一人きりだった。(194p)
長すぎる桜の生とは反対にあまりにも短すぎる花びらの姿(76p)
季節とともに流れていくその儚さと、再び廻りくる再生の刻の永劫性を自覚できぬまま予感だけが通り過ぎていくもどかしさに惹かれるのだろうか(77p)
孤独と転生を近くにおいているのは…
転生する自分=可能性が見える自分?
負けたことなど、一度もなかった(192p)
他の失敗した自分を見ているから。
桜流し
開いたばかりの花が散るのを
見ていた木立の遣る瀬無きかな
きれいな、切ない歌です。
元就様とお別れして自分の人生に戻った捨て駒の歌…だと思ってます。
元就様の生き方が辛くても愛しているから肯定するんです…
わからなかったところ
70 p
花の香が蝶を招くことまではみとめてくれないのですか
大谷の矛盾=愛=花の香、だと思いますが、それなら蝶は…
捨て駒?
113p
本当は何を捨て駒にするのですか
作中で毛利が捨て駒にしたのは復讐、読者、あとは…?
288p
どっちの視点なのかわからない
292p
月光の泉で水浴びしてるのは誰?
その他感想
真面目モード終了。敬体も終了。
砕けまくってます
24p
市つれてるなりかわいい
32p
凶王は~こちらを斜めに見下ろす。一瞬、時が止まったかのように感じられて、いつのまにか風がやんでいた。
恋かな?
33p
凛とした佇まいに、不釣り合いなほど大きな兜。
身長詐欺w
34-35p
この戦国の時代にあって、十分な戦力を有しながら、この国の覇権を目論まない彼を、揶揄する声は少なくない。
曰く、去勢された獣である。
天下を求め、他より秀でることを求める男性性に振り回されることなく、むしろそうした強欲さと支配欲とを捨て去って、ただ厳島からのぞむあの大鳥居の美しい光景に自身の平穏を求める
o(^▽^)o
48p
ザビー教の動向の報告に「…なにやら寒気が」
かわいい
48-49p
~黒田官兵衛。島津義弘。大友宗麟の三羽ガラスが、ザビー教への愛に結集する。
そこに、毛利元就は、尋常ではないほどの危機感を抱いた。
それは背徳に犯されていくときの恍惚の、ではなく武者震いにも似た高揚の、でもなく快感、でもない。ほとんど無意識による生理的な嫌悪感のようなものかもしれなかったが~
背徳に犯されるって…
54p
~ザービザビザビと封じこめられたはずの面影が花畑の向こうから両腕にバズーカを持った姿であらわれ、元就は両手を広げてその胸に飛びこもうと……、
かわいい
54p
こ、
この感情はならぬ!
元就はおびえる三毛猫のように全身をふるわせた。
三毛猫はほぼメスというのが34pと相まって
54p
長すぎる兜
やめてw
57p
細い腰
きました
114p
今度はゆっきーの攻撃に見惚れるなり
かっこいいからね仕方ないね
171p
KG逆レ(ry
245p
蒼紅の決闘に死後の安楽があるっていうの好きだなあ
276p
悲鳴じみた高笑い聞きたい
301p
強がり……
314p
我に、自由などない。
大袖が鳥の羽と表現されてるのにこれは切ない
318p
すぐ泣くしすぐ震えるな、この人は(´;ω;`)
幸村とお館様の話も好きだーー!!
捨て駒としては
どうしても
元就様に桜流しの歌があてられたことが
ううっ
元就様あああ
卑怯だの冷酷だの非道だの言われるけど
それでもなりは美しいんだよ
昔から
今も
ずっと
小説なりは、いつものなりとそこまで違ってるわけじゃない
寂しがってるし、捨て駒にしなければならないと言い聞かせてるし、頻繁にチカの言葉を思い出してる
いつものなりも桜は好きそう、4の厳島に生えてるし